
深刻な住宅不足に悩むニュージーランドでは、新しいオフィスビルや住宅物件の建築が急ピッチで進んでいます。しかしそれに伴い、古い歴史的建造物がどんどん解体されてしまうという、負の側面も持ち合わせているのです。今回は、そんなニュージーランドで進む建築計画について、具体的に見ていきましょう。
中古物件を購入し、新築に建て替える人が多いNZ
以前の記事で、ニュージーランド、特にオークランドは移民数が多いので、住宅の数が足りていないという話をしました。そこで今回は、オークランド市内住宅事情の現状を紹介したいと思います。
ニュージーランド不動産では中古物件の販売が盛んですが、最近は牧草地を開拓して、新興住宅地を開発し、土地だけを販売しています。
相場感として、市内中心の一等地は、土地だけでも100万NZドル以上する価格帯になってきており、土地家屋の合計が、200万NZドル〜300万NZドルという価格帯にまで上がっています。
西方面の効率のよい土地は、450㎡、55万NZドルで購入できますが、建物建築費をプラスすると、やはり100万NZドル越えてしまうという状況です。

そんな状況の中、ある夫婦が歴史的建物を建て替えて、マイホームとして生まれ変わらせた事例をご紹介したいと思います。
歴史的建物は、オークランド市内東に位置するFreemans Bay(フリーマンズベイ)の、眺めのよい場所にあります。1882年建造で、土地は685㎡、床面積142㎡で、4LDKのコテージとなっています。
2010年に、夫婦はこの建物を200万NZドルで購入しました。現在は、評価額295万NZドルですので、実際のマーケット価値は300万NZドルを越えるでしょう。
そんな中、2012年にこの既存の家を解体し、新築を建てようとしたのですが、当時の市役所は、歴史的建物ゆえ解体に許可を出しませんでした。

しかし、この夫婦は新築建築を強く希望しており、あきらめず何度も市役所へ認可を申請しています。
彼らは、3階建て床面積234㎡の家を新しく建築したいと考えてます。フレンチドアからはプールへと移動でき、その他、ジムや暖炉、ワインセラーなどの設備を儲け、駐車場には車を3台停められるようにしたいなど、夢のある建築計画を立ています。
その後なんとか申請が通り、既存の歴史的建物は解体されることとなりました。今は、下記の写真のような姿となっています。
またひとつ歴史的建造物が消える・・・この事例も、数ある解体例の一つにすぎないのです。

昔ながらのショッピングセンターが高層商業ビルに

このショッピングセンターは老舗の店で、フードコートがあり、市内のサラリーマンやOL、それに英語学校に通う学生に人気の店でした。
また、大橋巨泉さんのOKギフトショップもあり、入り口には巨泉さんの等身大の写真も飾っています。ニュージーランドにいながら、日本人の店があるのはどこか誇らしく、日本人観光客はもとより、韓国・中国人の観光客にも人気の店でした。
解体後は高層商業ビルに生まれ変わらせるべく、2018年~2020年度の完成を目指しています。皆が楽しんで過ごしていたフードコートは近代化した店になり、ファッション店も入り、日本にあるようなお洒落なショッピングセンターへ生まれ変わることでしょう。
海の景色も楽しめるオフィスビルですから、働く人達のステータスにもなるでしょう。また、鉄道の駅も拡張され、西路線への移動が便利になると聞いています。
住宅不足のために、古い家、歴史的建造物件が世の中から消え、新築化、高層化で数を増やす計画が進んでいますが、古いものから新しいものへの移行は、少し複雑な思いで見つめています。ただ、未来都市として成長していくオークランドの街は、これからも目が話せないことは確かです。
Author Profile

- Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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