【連載210回目】NZ不動産市場、失速していた「オークション販売」に復活の兆し…「中古住宅」の高値売却を実現する「改装テクニック」とは【現地バイヤーが解説】
2025年8月18日
連載コラム 一色 良子
南半球に位置し、冬真っ盛りのニュージーランドでは、一時期失速していた不動産マーケットにも勢いが戻りつつあります。物件の販売数が少ないシーズンだからこそ、低価格で購入する・高値で売却する、それぞれのテクニックがあります。現地バイヤーが解説します。
※本記事では、オークランド在住で不動産会社を経営する著者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。
NZ賃貸物件の「ヘルシーホーム基準」強化で起こった変化
近年では40度を超える猛暑もあるという日本の皆さんに、暑中お見舞い申し上げます。筆者がいる南半球のニュージーランドでは、冬真っ最中です。雨が多く、都市によって気温も変わりますが、オークランドは朝は10度以下、日中でも15度前後と、この涼しさを北半球にお届けしたい思いです。
さて、こちらの不動産賃貸管理の決まりが変わり、「ヘルシーホーム基準」が強化されました。具体的には、
・断熱材設置
・暖房機の設置
・キッチン、バスルームの換気扇設置
これらの基準を達していない賃貸物件の家主には、罰金が科せられることとなったのです。そのため、6月は家屋のメンテナンス業者は駆け込み工事が続いて超繁忙に。家電店もエアコンの売れ行きが増加して業績好調です。
ただし、上記に該当しない一般の店舗等では、電気代節約でエアコン使用を控え、昔ながらの湯たんぽを活用するなどしています。もっとも、昔と違って動物の形をした子ども向けのかわいいグッズも増え、ほのぼのと癒されます。
筆者も業者から湯たんぽをもらったので、試しに使ってみたところ、とても足元が温かく、そのうえエコなので重宝しているところです。電気毛布の事故が報道されたこともあり、今年はなおさら「湯たんぽ派」が増えているようです。
一時は失速していた「オークション販売」も復活の兆し
オークランドの不動産売買は、ニュージーランドのなかでもひときわオークション売りが盛んであり、またワイカト地方にも浸透しています。当日に無条件で買ってくれるとなれば、家主にとってまたとない販売方法だといえます。
しかし、ここ数年は住宅ローンの金利高値やマーケットの冷え込みの影響で、期日を決めてオファーをしてもらう「DeadLine Sale」という方法や、価格提示をするなどの方法が増え、オークション売りが減少していました。
しかし、オークション売りを根気強くPRしてきたオークショナー、セールスコンサルタントの力で、真冬の厳しい気候のなか、週末のオークションも各地で開催されています。ここ数週間は売り物件が少ない時期でもあるため、オークションを開催すると即完売するケースがあったり、また、いったんオファーが出たことでオークション日を早めるケースもあるなど、マーケットの回復を感じます。
そのようななか、新築のデベロップメントのタウンハウスや、戸建の物件も価格を下げており、非常にお得な状況にあります。
次の開発に進みたい開発事業者のなかには、手元の物件を底値で販売しているところもありますので、セールスコンサルタントに相談しつつ状況を聞くことで、お得な物件を手に入れるチャンスがつかめるかもしれません。
売却を考えているオーナーの方にとっては、冬のマーケティングはお得な面もあります。まず、売り戸数が少ない時期であるため、競争相手が少ないというのが大きなメリットです。最近は住宅地の開発が増えており、近隣に新築物件が建築されると、中古物件の評価が微妙になります。高値で売りたい場合、周囲に新築物件が完成する前に売り切るのが得策です。
しかしながら、ここ最近の新築物件は、一見するとモダンで素敵なものの個性がなく、また、いずれの新築物件もデザインが類似しています。デザインにこだわる買い手は、むしろ古いほうを好むことが多いので、中古物件は個性を生かしつつ、デザイナー改装することができたらベストです。そうなると、新築物件と同等か、むしろ高値で買ってもらえる可能性が高くなります。
売り手として改装する余裕がなければ、いっそなにも手をつけず、こちらでいうところの「Do up」、つまり「次の買い手に託す」かたちで、好きなように改装して住んでください…とする方法もあります。ただしその場合は、買い手が別途改装費を用意しないといけないので、ローンを借りてギリギリ家を買う人には向きません。買い手候補が少なくなるという点では、注意が必要です。
当然ながら「改装していないから売れない」ということもありうるわけで、いずれにしろ、売りに出す時期のマーケットの様子、近隣の様子を見てその辺を判断するのがいちばんでしょう。
どんな家にどれだけのオープンホーム訪問者が来ているのか、近所を散策しながら観察するのも、家を売りに出すオーナーの大切な勉強のひとつだといえます。口で言うのは容易ですが、よりよい条件で家を売却すること、そしてその準備をすることは、簡単ではないのです。
Author Profile

- Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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