
近年、不動産価格が急上昇しているニュージーランド。自宅を購入したくても、希望する条件と購入資金のバランスが取れず、なかなか踏み切れないバイヤーも多いようです。しかしここにきて、いくつかの条件が重なったことで、買いやすい流れになっています。
※本記事では、オークランド在住で不動産会社を経営する著者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。
バイヤーも真剣…「なにがなんでも日程調整」の行動力に脱帽
今年もあと3ヵ月を切りましたが、ニュージーランドの不動産業界は活況です。また今月は多くのイベントがあり、移民の多いオークランドでは、豊かな国際色を感じます。
日曜日は教会へ行く人が多いことから、週末のオープンホーム見学にも影響があると聞いていました。実際に日曜日の教会礼拝に出席してみると、12時からのオープンホームの予定がある人たちは、途中で抜け出して見学に行っています。
ニュージーランドでは、不動産のオークション売りが一般的なのですが、「Deadline sale」といって、時期を決めて一斉にオファーを出すという販売方法があります。期限が設定されている物件を買いたい場合は、それに合わせて行動をしなければなりません。
どうしても年内に家を買いたい人たちは、オープンホームの時間の設定時間に合わせ、朝から参加していた教会の礼拝を抜け、家族総出でオープンホームの現場へ急行するのです。
実は筆者も、このような家族の「バイヤーズエージェント」をしており、「物件案内の前に教会へ礼拝へ行くので、よかったら一緒に」と頼まれ、同行したことがありました。
賛美歌を歌っている最中、筆者の顧客のご家族が呼びにきました。筆者はてっきり家族内の用事だと思っていたところ「オープンホームへ移動する時間だから」というのです。
教会から該当の場所まで車で10分で、その日のオープンホーム開催の時間は12時~13時。12時45分に教会を出ても見学できるので、筆者はその心づもりだったのですが、讃美歌の最中に呼びに来た家族の方は、開催時間早々に行かなければならないと思われたようです。
もちろん、早い時間帯に行けばゆっくり見学できますから「いやいや、まだ大丈夫ですよ」…とはいわず、筆者も先方のペースに合わせたのでした。
「教会へ行く日」は外せないものだと思っていたのですが、物件購入の真剣度によっては、行動が前後することを知りました。
複数の理由が重なり、住宅購入希望者の方にいい流れ
ここ最近のニュージーランド不動産は、住宅購入希望者の方にとって非常にいい流れになってきています。様々な背景から、お得な物件探しができるのです。
銀行の住宅ローン金利が減少した話題については、以前も記事でご紹介しましたが、さらに金利が下がり、大手銀行の現在の金利は4.45%、フローティングレートも6%を割りました。なかにはスペシャルレートを受けられる人もいることでしょう。
わかりやすくするため、2ベットルームの新築タウンハウスを例にシミュレーションしてみましょう。
【住宅購入シミュレーション】
★物件価格 :60万NZドル
★デポジット:10%
★借入金額 :54万NZドル
★借入期間 :30年ローン
★金利 :4.45%
こちらは何事も週単位で計算しますので、週約462NZドルの金利返済。諸々経費追加しても、500NZドル程度。
一方、賃貸家賃の相場は、同じ2ベットルームで550NZドルから600NZドルの相場。新築ですと、580~600NZドルをチャージされます。
結果、家賃支払いより、住宅ローンの借り入れを受けて金利を払うほうが低額なのです。もちろん、数年ごとに金利上昇もありえるため、この数字だけで全体を比較してはいけませんが、よほどのことがない限り、また、給与も上昇すると仮定すれば、そう大きなダメージはないとみています。
万が一家賃が払えなくなったら、出ていくしかありません。しかし、マイホームの場合は、万が一ローン返済ができないとなっても、銀行と相談のうえ、調整できる可能性があります。よほどでなければ家を追われることはありません。もちろん、返済能力ゼロとみなされれば、モーゲージセールとして家をオークションで売りさばくことになりますが、それは最後の道です。
現状のマーケットから見ると、購入から5年も経てば物件価値が上がっている傾向が高いため、損害を免れる可能性も秘めています。
マイホーム購入希望者の方の多くが「ローンの支払いができるだろうか?」と不安を口にしますが、他人が保有する不動産に家賃を払ってローン返済を代行するより、自分のために買った自分の不動産のローンを支払うほうが、将来の資産形成にどれだけプラスになるでしょう。
そしていま、新築物件は「売れ残り回避」のために価格を落とし、年内売り切りを目指す開発会社の物件が多いのです。数万NZドルから5万NZドルも値下げ。ある物件は100万NZドル近く値下げという例もあります。
一方で、その逆の現象も生じています。元の価格に戻ったというのが正確な表現かもしれませんが、オファーが出ないため価格を下げると、新規で広告を見た人々や、これまで経過観察をしていた人たちが真剣にオファーを検討しはじめます。結果、「マルティプルオファー」といって複数の人々がオファーを出し、競争となって価格が上がり、10万NZドルアップで契約が成立――。不動産販売エージェント、売主のテクニックの勝利とでもいいましょうか。
価格を下げる手前でオファーすれば成立の可能性が高かったのに、値下げしたとたんにライバルが増え、勝つためには高い金額を提示しなければなりません。最終段階で自分が選ばれても、売り主から「もう少し価格をあげられませんか?」ともいわれ、条件をのむことに…。売主にとっては大成功です。当初の価格にまでは満たないようですが、たたき売り価格ではなく、運の良い結果となったことは事実です。
買い手はきつねにつままれた感じですが、それでもお得価格で買えていることには間違いなく、クリスマス前に新築の新居に住めることになり、皆にとってハッピーな結果となりました。
NZの不動産売買は、タイミング、ご縁が大切です。考えすぎてチャンスを逃すのが一番残念です。「ここだ!」と思うタイミングで打って出ることで結果を得るのです。
筆者は今週末も物件回りに時間を費やし、そんな毎日がクリスマス前まで続きます。
Author Profile

- Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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