
今年のニュージーランド・オークランドの冬は、例年にない厳しい冷え込みですが、その一方で不動産業界・建設業界の勢いは止まりません。国民のライフスタイルの変化や、政府による積極的な移民政策によって慢性的な住宅不足が起こり、開発が追いつかないのです。不動産価格の推移と合わせ、現状を分析します。
例年にない寒さのオークランドも、建築業界は超ホット
温暖な気候といわれるニュージーランドのオークランドですが、今年は寒くてたまりません。南極から吹く風に国土が覆われているのです。ニュージーランドの南島は雪が降りますが、北島は、スキー場のある山の一部は以外、ほとんどは雪が降りません。数日前は首都ウェリントンでも初雪が観測され、オークランドは3度~5度、日中でも10度前後という、まさに冬真っただ中なのです。
この時期、いつもなら海外へ出ることが多かったため、この寒さに気付かなかったのかもしれませんが、とにかく今年は寒くてたまらず、建築ラッシュが進む建築業界の人たちにとっても、非常につらいシーズンとなっています。
それにしても、各地で家が建設されるのに伴い、道路工事はもちろん、下水管の新設、インターネット用の電線配置のための工事も進んでいます。街の至るところにオレンジ色のコーンが立ち並び、道路もあちこちで渋滞が発生しています。

家の建設が急ピッチで進む。

ずらりと立ち並ぶ新築住宅。道路はまだ整備中。
土地の高騰と住宅不足緩和のため、オークランドではタウンハウスの建設が盛んになっていますが、年内の完成を目指し、まさにいま急ピッチで工事が進んでいるプロジェクトがあります。
およそ10ヵ月前は、タウンハウスの多くは3LDK・62万NZドル程度で販売されていましたが、再度マーケットに出す「再売り」では、72万~74万NZドルの価格設定でした。いま売り出している新築のタウンハウスは80万NZドル台です。
しかし、直近では95万NZドルの物件も登場したため、今回の70万NZドル台は「お手頃感」があり、80万~90万NZドル台のタウンハウスでは予算が合わない人たちの関心を強く引きつけています。
60万NZドル台のタウンハウスを販売していたときは、「50万NZドル台の物件はないのか」との問い合わせを受けることもあり、少々苦戦したものですが、そのときすでに価格上昇を見越し、60万NZドル台で複数の物件を購入していた人もいました。
約10カ月でこれだけの価格の変化が起きています。一気に10万NZドルの利益を上げることになり、場合によってはあと数万ドル上がる可能性もあります。あるお客さんは5軒購入していたため、50万NZドルの利益です。
コロナで不動産業界が不振となり、バブルが起こるのではと心配した人もいましたが、この国は、日本とは異なる動きです。
建設しても、建設しても…「売る家が足りない」理由
国内の平均販売額は、昨年6月の金額は、72万8,328NZドルでした。今年6月は、87万5,197NZドルとなり、対前20.2%アップです。
下記の図表1からもわかるように、若干の低迷期もありましたが、その後上昇に転じるという現象が見て取れます。一戸建て住宅の平均販売価格110万NZドルを超えたオークランドですが、デポジット分の資金を用意できる力があれば、まだまだ不動産投資で利益を得られそうです。

[図表1]ニュージーランド不動産の国内平均販売価格
一戸建住宅が110万NZドル以上となり、筆者がフィールドとしている地域はさらにその上の130万~150万NZドルの規模となっています。それを考えると、新築されているタウンハウスの70万NZドル台というのは超お買い得で、80万~90万NZドル台、すなわち「100万ドル以下の物件への投資は、しやすい」という感覚なのです。
普通の人が「100万NZドルの物件」へ投資する現実
この不動産投資熱は、まだまだ続くと思われます。価格の上昇としては、販売する戸数不足が要因のひとつです。
下記の図表2の販売戸数の推移を見ると、価格とは反比例で、販売戸数が少ないことがわかります。

[図表2]ニュージーランド不動産販売戸数の推移
ひとつの中古物件に購入者が殺到し、オークション効果もあって価格上昇をしているのです。
人々の生活スタイルの変化のほか、移民の上昇もあり、タウンハウス建設で戸数を増やすなど宅地造成が盛んではありますが、戸数的には増えているものの、増加を続ける人口とのバランスが取れていないといった現状です。オークランドから他都市へと人口の分散化を狙う、政府の政策も強化されています。
Author Profile

- Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
-
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
連載コラム 記事一覧 >
最新の投稿
連載コラム2025.10.17【連載212回目】NZ不動産「ここ最近は、お得な物件探しができる」…「住宅ローン金利低下」「業者の新築物件の売れ残り回避策」が好影響
連載コラム2025.09.16【連載211回目】ニュージーランド、金利低下で「マイホーム購入」の機運高まるも…新築物件と中古物件、明確な構造の差に実感する時代の流れ【現地バイヤーが解説】
連載コラム2025.08.18【連載210回目】NZ不動産市場、失速していた「オークション販売」に復活の兆し…「中古住宅」の高値売却を実現する「改装テクニック」とは【現地バイヤーが解説】
連載コラム2025.07.11【連載209回目】NZ不動産、2025年6月「一般居住物件価格」は概ね下落も、オークランドは好調【現地バイヤーが解説】

















