
ニュージーランド最大の都市「オークランド」では、年を経るごとに人口が増加しています。なぜここまで人口増加が進むのか、オークランドの発展の歴史を振り返りながら探っていきましょう。
高層アパートメントの建設で拍車がかかった移民増加
前回の記事で、2013年から2043年までに、オークランド人口は55%増(83万3000人増)と、過去最大の増加が予測されるとの記述がありました。
今回は、私がニュージーランドへ移住した1996年11月から今日に至るまで、約20年間のオークランド発展の歴史を紹介したいと思います。まずは下記の地図をご覧下さい。

当時、オークランド市内セントラルでは、アパートメント建設ラッシュが始まっていました。オークランド大学に近いエリアには、学生宿泊用のアパートメント、海側のエリアには、家族居住用、および別荘居住用アパートメントが建設されていました。



建設ラッシュがはじまる前、学生達はシティー近郊の住宅地、特にMt Eden(マウントイーデン)、Ponsomby(ポンソンビー)にある一戸建てを借りて、部屋をシェアして住んでいました。しかし、アパートメントが建設されると、学校が近いことに加え、アジア人学生は慣れている居住形態であること、さらには投資目的とも平行して、アパートメントへの居住が増えていきました。
現在ヒルトンホテルが建つウォーターフロントも、当時はしがない波止場でした。木目の足場があるだけで建物は何もなし。それが今では、船をつけられるターミナルが増築され、シェッド10という催し会場もでき、レストランやアパートメントが建ち並んでいます。オークランドの顔として観光客にも注目され、豪華客船も停泊する街となりました。
ニュージーランド人は、あまり高層ビル=アパートメントでの居住経験がありませんでした。オフィスビルこそ建っていますが、高層アパートメントはごくわずか。それが1990年代に入ってからは、高層アパートメントでの暮らし方が浸透してきました。
一方、香港・韓国・日本を中心としたアジア人は、利便性の面から高層アパートメントを好む傾向にあります。
不動産投資をする人は、プラン売りで購入し、契約時は申込金として3000NZドルから5000NZドル払い、気に入った部屋をキープしておきます。そして購入の意思が固まったら購入金額の10%を払い、アパートメントの完成と同時に残りの金額を支払います。
開発会社は、オーストラリアやシンガポールなどの投資家をターゲットに、2年間の家賃保証や年利8%保証などを宣伝文句としながら販売網を増やし、早期販売・短期建設でアパートメントを増やしていきました。オークランド大学への留学人気が上昇したこともあり、アパートメントのニーズは、まだまだ高いと言えるでしょう。
商店やスタジアムなど、娯楽施設が揃う「アルバニー」
アルバニーのアパートメント建設については、連載第48回「NZで注目される土地の買占め投資法「ランドバンク」とは?」などでもお伝えしてきました。牧草地を開拓し、山を崩し、アパートメントや一戸建てがどんどん増築されている状況です。また、大型ショッピングセンターも複数建設され、ベッドタウンとしても盛んな街となっています。
特に韓国系の移民が多く住んでおり、韓国系スーパーマーケット、焼肉店、スパランドやゴルフの練習場があり、ちょっとしたコリアンタウンが形成されています。西洋社会で暮らしていても、ここへ来るとちょっと懐かしい、アジアの空気や味覚を楽しむことができます。オークランド大学のキャンパスもあるので、人口はますます増えていくでしょう。

リタイヤメントビレッジも建設され、憧れの老後生活を実現することができます。最初は1棟だけでしたが、病院と隣接している点から人気が出、2棟、3棟と増築しています。
ニュージーランドの男性は大工仕事が好きなので、老後も作業ができるよう大工道具が完備された作業場があります。また女性はアフタヌーンティを楽しみながら、手芸をしたり、図書室で語り合ったりもできるのです。

ニュージーランドはラグビー王国として名高いですが、このアルバニーにも国際試合ができるスタジアムがあります。若者からお年寄りまで、気軽にスポーツ観戦ができる場所となっています。アルバニーならば、生活に必要なものがすべて揃うのです。
これまでニュージーランド人は、のんびりと緑の芝生の中で暮らし、自炊が当たり前という環境でした。そんな中、1990年代に入って高層アパートメントが建ち、アジア人留学生や移民が増えたことにより、アジアの文化がニュージーランド文化の一部となりつつあります。
10年、20年後・・・この状態から、ニュージーランドがどのように変化していくのか楽しみです。ただ、ニュージーランドといえば緑が豊富というイメージですので、コンクリートで固めたビル街にだけはなってほしくないですね。
Author Profile

- Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
-
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
連載コラム 記事一覧 >
最新の投稿
連載コラム2025.10.17【連載212回目】NZ不動産「ここ最近は、お得な物件探しができる」…「住宅ローン金利低下」「業者の新築物件の売れ残り回避策」が好影響
連載コラム2025.09.16【連載211回目】ニュージーランド、金利低下で「マイホーム購入」の機運高まるも…新築物件と中古物件、明確な構造の差に実感する時代の流れ【現地バイヤーが解説】
連載コラム2025.08.18【連載210回目】NZ不動産市場、失速していた「オークション販売」に復活の兆し…「中古住宅」の高値売却を実現する「改装テクニック」とは【現地バイヤーが解説】
連載コラム2025.07.11【連載209回目】NZ不動産、2025年6月「一般居住物件価格」は概ね下落も、オークランドは好調【現地バイヤーが解説】

















